女子会の流れでKの母上に会いに行く
Kの結婚式以来約三十年ぶりの再会だ
齢(よわい)八十を超えた母上
アラ還(かん)の二人と母上の夕食は、
女子会第2ラウンドとなった
あたしはね、木登りしておにぎりを食べていたのよ
千葉の田舎に疎開(そかい)していたから、東京大空襲はまぬかれたわ
下町は、渦巻きみたいにグルグルと爆撃されたそうよ
お米がなくて、トウモロコシばかり食べてたわね…
母上は、そう終戦前後の話を何度も語った
とてもにこやかだった
そして、私も合いの手を入れる
「こんちゃん、今夜は泊まってゆくでしょ?」
あっ?このセリフは…
そう、学生時代も母上のすすめで、
何度もKの家で話し込んだことを思い出した
翌朝、母上は元気にデイサービスに出かけていった
「ありがとう、あんなに楽しそうな母を、見たのは久しぶりよ」
と、Kが言った
私は、Kに抱きついて泣いた。
頭の中は、実家の母のことであふれていた。
どうして同じように優しく接する事ができないのだろう
耳の遠くなった母との会話にイライラしてしまうのだろう
会いに行こう、母に
母の話に、ただ、耳を傾けに。