先日、よく行くショッピングセンターのベンチで、見知らぬ老婦人と、話しをした。
「今日は、暑いですね。五月なのに、真夏日なんて...」
婦人「あら、あなた、とっても素敵よ、その髪...」
私は、嬉しくなり、買い物の疲れも忘れ会話を続けた。(まだ、グレイヘアは、8割くらいの伸びだ)
ご婦人は、とてもきれいなグレイヘアで、背筋が伸びていた。聞くと、私の母よりひとつ下の昭和10年生まれだった。ご婦人は、四国地方の出身で学生時代に声楽を、学んでいた。ご婦人の夫は、ジャズの評論家だと言う。
婦人「私は、夫を世に出す為に尽くしたの。声楽を諦めてしまった事は、人生の不覚だったわ。」
夫の事を、話しながら(その世界ではかなり著名な方らしい)、何度も、ため息混じりに繰り返していた。
私も、文学の隅っこのほうで、詩を書いていると、話した。「まあ!」と、話しは、盛り上った。そこに、娘さんから、携帯に電話があり(ご婦人の)お開きになった。
楽しかったわ、ありがとう、。と、お互いの氏名を名乗り合って、別れた。
不思議だった。
やっぱり、人は、人生の終盤には、やらなかった事を後悔するんだ、と強く感じた。
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検索したら、ウィキペディアにも載る、大変有名な評論家の奥さまだった。