「悠久の人」
初めての海外への機内
鼻筋のとおった浅黒い肌の青年に
目を奪われた
襟の立ったアイボリーの長い上着
斜め前のその人を
ぼおっと眺めていた
*
40年後。
三渓園の寺という神聖な処で
いつまでも聴いていたくなる
声の詩人と出逢う
静かに、タゴールを語る彼は
母国では著名な人物。
なのに、
ただ、そこにいて自然
権威とは無縁な謙虚さ
一流のひと
いや、それさえも超えている
タゴールの愛した日本
彼の国から渡った
たくさんの文化、英知
悠久の国に学べ
そして、自国のそれをも、
宙(そら)に繋がったような
空間で深く呼吸し
体ごと開放された
*全人アーティスト
ニランジャン・バネルジー氏に捧ぐ
2019.6.21